シソは日本で古くから親しまれてきた和製のハーブです。
しかし、庭や家庭菜園では「シソを植えてはいけない」と言われるほど、栽培には注意が必要です。
というのも、シソを庭や家庭菜園で育てるには、次のような点を解決しなければならないからです。
シソを植えてはいけないと言われる理由
具体的には次の3つの理由から、庭や家庭菜園にシソを植えてはいけないと言われています。
1.こぼれ種で大量繁殖する
シソを栽培すると花が咲いて種ができますが、これらの種が地面に落ちると、翌年には自然に芽が出て成長します。
そうなると、庭や家庭菜園の至るところにシソの種が飛び散り、芽が出て増えてしまいます。
というのも、シソは雑草のように繁殖力があり、手入れをせずとも成長し、次の年以降も自力で勢力を拡大するからです。
そのまま放置すると、庭や家庭菜園がシソだらけになり、他の植物の生存が脅かされることから、「シソは植えてはいけない」とされています。
2.虫が発生する
シソは強い香りを持つ植物で、イモムシやナメクジなどの害虫はその香りを嫌います。
しかし、ヨウトウムシ(夜盗虫)と呼ばれる蛾の幼虫はシソの葉を大好物とし、食い荒らします。
ヨウトウムシは食欲旺盛で、シソの葉だけでなく、白菜やキャベツなどの他の野菜も被害を受けます。
このため、シソを植えると他の野菜にも虫食い被害が広がることから、シソは植えてはいけないとされています。
他にもシソには植える時のルールみたいなものがあります。
3.赤シソと青シソは一緒に植えてはいけない
赤シソと青シソの両方を近くで同時に植えることは避けた方が良い理由は、交雑して質が落ちるからです。
シソは一度植えると翌年もこぼれ種が地面に落ちて自然に芽を出し成長します。
なので、赤シソと青シソを近くで栽培していると、交雑したシソが生まれる可能性が高まります。
交雑したシソは香りが薄くなり、葉の色が赤と緑の混じった色になるなど、利用価値が低くなります。
一度交雑種ができると、元のシソに戻すことはできませんし、こぼれ種のシソは雑草のように繁殖力が強く、庭中にシソが増えてしまうのでNGです。
ただし、赤シソも青シソも一年限定で植えるつもりなら、同時栽培は問題ありません。
種ができる前に花の穂がついたら早めに摘み取れば、種が地面に落ちて芽を出すことはありません。
シソを正しく管理すれば植えても大丈夫
シソを植える際には注意が必要ですが、以下のポイントを守って栽培すれば家庭でも安心して育てることができます。
- 地植えではなく鉢やプランターで育て、鉢やプランターは土のないコンクリートの上に置いて、種が土の上に落ちないようにします。
- 害虫駆除をしっかり行います。
- 赤シソと青シソは一年限りで育て、種ができる前に花の穂がついたら早めに摘み取って種ができないようにします。
シソの栽培で怖いのは、こぼれ種が広がることです。
これを防止するために、シソをプランターや鉢で育て、土の地面から離して芽が出ない場所で育てましょう。
シソの育て方(初心者向け)
- 種まき:
- 時期: 4月中~下旬(育苗)または5月以降(畑に直播き)
- 方法:
- 種を播いたら、軽く土をかけて覆います。シソは好光性なので、光を当てて発芽させましょう。
- 育苗箱やポットに種をまいて、発芽後は本葉が4?5枚になったら畑に植え付けます。
- 土作り:
- 土壌: 肥沃で排水の良い土壌が適しています。
- 酸度(pH): 6.0?6.5が目安です。土壌酸度を調整しましょう。
- 植え付け:
- 適期: 本葉が4~5枚になったら定植します。
- 株間: 40cmほどの間隔で植え付けましょう。
- 追肥:
- 肥料: 成長期にバランスのとれた配合肥料を与えます。
- 注意: 肥料を与えすぎないようにしましょう。
- 敷きワラマルチ:
- 目的: 夏期の乾燥を防ぐために、シソの周りにわらなどを敷きます。
収穫のポイント
- 大葉(青ジソ):
- 主茎の葉が10枚以上になったら、下の方の大きな葉から収穫します。
- 香りを保つために、手で葉を触りすぎないように注意しましょう。
- 赤紫蘇(赤ジソ):
- 梅干し用などに使うため、株を束ねて根ごと引き抜いて収穫します。
赤シソと青シソの違い
- 色素の違い:
- 赤シソと青シソの最大の違いは、葉の色です。
- 赤シソは紫がかった色合いで、アントシアン系の色素を含んでいます。そのため、着色用の葉として活躍してきました。特に梅干しの着色に使われます。
- 青シソは瑞々しい見た目で、薬味として用いられます。ベータカロチンが豊富で、栄養価が高いとされています。
- 栄養素の違い:
- 青シソはベータカロテンが多く含まれており、ビタミンB群やビタミンE、Kも豊富です。鉄分も多いため、栄養価が高いです。
- 赤シソにはアントシアニンが含まれており、ポリフェノールの一種です。目のトラブルを解消し、抗酸化作用にも効果的です。
赤シソは着色や梅干し用に、青シソは薬味として幅広く使われています。どちらも美味しく、健康に良い野菜です。??
エゴマとシソ
エゴマとシソは異なる植物です。
エゴマ
学名: Perilla frutescens var. crispa
別名: 紫蘇(しそ)、紅蘇(こうそ)
【特徴】
葉は丸みを帯びており、葉先が尖っていません。
香りはナッツのようで、料理の仕上げに使われます。
葉は硬めです。
梅干しの着色にも利用されます。
用途:料理の香りづけや彩りに使われます。
シソ
学名: Perilla frutescens var. crispa
別名: 青紫蘇(あおじそ)
【特徴】
葉はギザギザしており、葉先が尖っています。
香りはさっぱりとしていて、薬味として用いられます。
葉は柔らかく、栄養価が高いとされています。
刺身のツマや薬味として広く使われます。
用途:料理にアクセントを加えるために使われます。
エゴマとシソはどちらも美味しく、料理に幅広く活用されていますが、見た目や風味が異なります。
エゴマとシソの見た目の違い
- 葉の輪郭:
- エゴマとシソは、葉の形で見分けることができます。
- エゴマの葉は丸みを帯びており、葉先が尖っていません。
- シソの葉はギザギザしており、葉先が尖っています。
- 固さ:
- エゴマの葉は、シソの葉よりも硬いです。これはエゴマの繊維が硬いためです。
- シソの葉は柔らかいので、触ってみると違いがわかります。
エゴマは、ナッツのような風味があり、料理の仕上げに使用されます。
一方、シソはさっぱりとした香りが特徴で、料理にアクセントを加える役割を果たします。
まとめ
シソは家庭菜園で育てるのに適した香味野菜ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。
シソは非常に繁殖力が強いため、庭に植えるとこぼれ種から次々に増えてしまいます。
園芸の専門家たちでも「シソは地植えすると増えすぎる」というのが常識で、庭や家庭菜園がシソだらけになるリスクがあります。
また、シソの香りは一部の害虫を引き寄せます。
特にヨトウムシ(夜盗虫)はシソを好んで食べるため、注意が必要です。
さらに、赤シソと青シソを一緒に育てると、交雑して新しい品種ができることがあります。
交雑を避けるために、離して植えるか、花の穂がついたら早めに摘み取りましょう。
シソは美味しく、上手に育てればいつでも新鮮な香りと風味を楽しめます。
リスクを回避しながら、家庭菜園でシソを育ててください。