「降水量30mm」という言葉を天気予報で見聞きすることが多いですが、具体的にどれほどの量の雨が降るのかを詳しく知っている方は少ないかもしれません。
そこで、ここでは、30mmの降水量とは体感的にどれくらいなのか、その意味と、それぞれの数字がどういった雨量を示しているのかを解説します。
降水量とは何か?
降水量というのは、雨が降って地面に溜まった場合の水の深さを指します。
たとえば、「1時間に30mmの降水量」というのは、雨水が完全に地面に溜まった状態で考えると、1時間で水深が3cmになるということを意味します。
1平方メートルの範囲に降った雨が30mm積もると、その水量は約30リットル、つまり約30kgの重さになります。
これにより、降水量はmm(ミリメートル)を単位として使用され、数値が大きいほど多くの雨が降ったことを示しています。
日常生活で降水量の数値をよく観察しておくと、その数値から雨の強さを把握することができるのです。
降水量の目安
以下は降水量に関する目安を、気象庁の情報に基づき、3つの異なる側面から整理した表です。
これには気象庁が使用する表現、一般的な降水時の感覚的イメージ、そして車の運転時の影響が含まれます。
1: 気象庁による降水量の表現
降水量 (mm) | 気象庁の表現 |
---|---|
1 | (記載なし) |
2 | |
5 | |
10 | やや強い雨 |
20 | 強い雨 |
30 | 激しい雨 |
50 | 非常に激しい雨 |
80 | 猛烈な雨 |
2:降水量に対する一般的なイメージ
降水量 (mm) | 雨のイメージ |
---|---|
1 | 傘がなくても我慢できる |
2 | 傘が必要 |
5 | 短時間でも傘が必要 |
10 | ザーザーと降る、地面からの跳ね返りで足元がぬれる |
20 | どしゃ降り、傘をさしていてもぬれる |
30 | バケツをひっくり返したように降る |
50 | 滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)、傘は全く役に立たなくなる |
80 | 息苦しくなるような圧迫感がある、恐怖を感ずる |
3: 降水量と車の運転における影響
降水量 (mm) | 運転時の影響 |
---|---|
1 | ワイパーが必要 |
2 | |
5 | |
10 | |
20 | ワイパーを速くしても見づらい |
30 | 高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象) |
50 | 車の運転は危険 |
80 |
この表によると、降水量30mmがどれだけ激しい雨なのか、具体的な体感的なイメージと危険性つくかと思います。
降水量30mmがもたらす影響と対策の概要
一般的に、木造住宅に住む人々は、20mmの降雨でその音に気がつくことが多いですが、30mmの場合はその感覚がさらに強まります。
そして、30mmの雨量だと、多くの場合、市街地の排水設備が間に合わないため、道路上に水溜まりができやすくなります。
歩行者はレインブーツが必須になり、車の運転にも悪影響を与え、水が溜まることでブレーキ効果が激減するハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。
高速道路では安全のため速度制限を設けることがあり、時には交通規制が敷かれることも。
水が道を覆うと、排水の進まない地域では家屋の床下に水が浸入することが懸念されますが、これは地域により状況が異なります。
よく整備された排水設備がある地域では、降雨がそれほど問題にならないこともありますが、一方で河川や大きな排水路に近い場所では、水が一時的に溜まることがあります。
ですが、時間が経過すれば自然と排水されるため、被害が出ないこともありますが、広範囲にわたる豪雨では水が溢れる恐れがあります。
特に低地や谷間の地形は水が集まりやすく、浸水のリスクが高まります。
すでに大量の雨が降っているか、排水設備が老朽化している場合、効率的な水の排出が困難になる可能性があります。
低地では特に浸水するリスクが高く、予防対策が必要です。
日本では時折見られる30mmの降雨は、建築基準や道路設計にも考慮されているため、大きな被害が出ることは少ないですが、それでも事前に周辺の地形や排水状況を把握しておくことが重要です。
また、雨が降り始めた段階でできる対策は限られており、多くは自然に任せるほかありません。
そのため、雨が降った際の準備と対策を事前に計画することが、被害を最小限に抑える上で重要になります。
降水量30mmの雨に備えるための対策と準備するべきアイテム
降水量30mmと聞くと、日本の夏場に頻繁に見られる突然の夕立やゲリラ豪雨を思い浮かべる方が多いでしょう。
台風が原因の場合にも、この程度の雨量は比較的一般的なものです。
しかし、たとえ1時間に30mmの雨が降ったとしても、それが引き起こす被害は無視できないものがあります。
そのため、被害発生前に適切な対策を行い、必要なグッズを準備することが極めて重要です。
最も基本的な対策は、家周りの排水機能を整えておくことです。
この対策は、個人の住居だけでなく、地域全体で共同で取り組むべき事項です。
自宅で行える具体的な作業としては、屋根の雨樋や地下の排水管の清掃があります。
地域レベルでは、共有の排水溝や側溝の掃除が重要で、大雨時に流れ込むゴミによる詰まりを防ぐためにも、定期的なメンテナンスが不可欠です。
また、大雨対策として、水の浸入が予想される場所には土嚢を配置することが有効です。
これにより、家屋への浸水を抑えることが可能です。
土嚢を作るためには、伝統的には土嚢袋と砂や土が必要で、都市部ではこれらが自治体によって提供されることもあります。
自宅で用意する場合、庭から土を取ることもできますし、土嚢袋はホームセンターで手軽に購入可能です。
また、最近では吸水ポリマーを使用した吸水性の高い土嚢袋も市販されており、これらは水を吸収して膨らむことで、従来の砂や土を使うタイプと同様の効果を発揮します。
浸水事故が起きた際に迅速に対応するためにも、モップや雑巾、バケツなどの清掃用具を準備しておくことが推奨されます。
これらは水が家の中に入ってしまった際に、素早く排水するのに役立ちます。
降水量30mmの雨が降る場合、適切な排水設備が整っていれば、大きな被害につながることは少ないですが、浸水しやすい地域においては、より充実した対策と準備が必要です。
これにより、災害後も早期に日常生活へと戻ることができるようになります。
30mmの降雨時の適切な防雨対策とその必要性
30mmの雨が降る状況では、通常の傘を使用しても、頭や顔を保護するのがやっとです。
風が伴うと、傘の効果は一層低下します。
そのため、どうしても外出を避けられない場合は、レインブーツやレインコートの着用が推奨されます。
夜間や視界が悪い条件下での外出時には、高性能な懐中電灯を携帯することが有効です。
車での移動の際は、雨により路面の状態が不明瞭になりがちです。
そのため、安全を確保するためには、慎重に走行する必要があります。
また、災害が発生した際に迅速に対応できるよう、非常用バッグやリュックを常に手の届く場所に準備しておくことが重要です。
まとめ
30mmという降水量は、1時間当たりのものとしては、気象庁が発表する大雨警報の基準に近い雨量です。
気象用語では30mm未満を「強い雨」とし、それ以上を「激しい雨」と区分けしています。
一般的には「豪雨」と表現されることもあり、「バケツを逆さまにしたような雨」とも形容されます。
30mmの雨量は、一時的なものであれば大きな影響は限定的ですが、台風のように長時間にわたって持続すると、大雨警報や特別警報が発令され、警戒が必要になります。
特に地域によっては、土砂災害や河川の増水、道路の冠水などの危険が生じ、避難の可能性が高まるため、注意が必要です。