お盆における食べ物の取り扱いは、昔と今で大きく変わっています。
昔は一部の食べ物を避けるべきとされていましたが、現代ではそのような制限はほとんどありません。
ですが、お盆にやってはいけないといわれる事はたくさんあります。
そこで、ここでは、お盆に食べてはいけないものや、やってはいけない事をまとめました。
現代のお盆における食事
「お盆」とは、亡くなった先祖の霊を迎える仏教の行事です。
昔はこの期間に「不殺生」という考え方に従い、生き物を傷つけないよう肉や魚の消費を控える風習がありました。
しかし、今日では宗派による差はあれど、食事に関する厳格なルールは薄れています。
なので、お盆に親戚が集まると寿司を食べたり、バーベキューを楽しむ人もいます。
昔のお盆の食事規制
昔のお盆では、以下のような食べ物が避けられていました。
1.肉・魚・卵
動物を殺すことを禁じる「不殺生」の教えにより、
- 牛や豚や鶏などの肉
- 鶏や魚の卵
- 魚介類全般
これらの食材は避けられていました。
なので、お盆では、動物性の食材を使わない精進料理が主流でした。
なお、この習わしは非常に厳しいもので、肉や魚を使った出汁や動物性の脂肪を含むバターやラードなど、動物由来の食品は一切使用しないとされています。
これは現代におけるヴィーガン、つまり完全な菜食主義と非常に似た考え方で、動物を一切利用しない食生活を意味しています。
このような食事スタイルは、動物を傷つけず、自然と調和する生き方を重んじる思想に基づいています。
2.にんにく、ねぎ、にら、らっきょう、しょうが(または山椒)
刺激的な味と匂いのある五種の野菜は、心を乱すとされ、避けるべきとされていました。
これらの食事規制は、先祖への敬意と精神的な清浄を保つためのものでした。
現代では、そのような食事制約は少なくなっていますが、敬意を表す心の持ち方は今も大切にされています。
お盆に控えるべき7つの行動
食べ物のほかにも、お盆にはいくつか避けるべき行動があります。
ここでは特に注意したい7つの行為について詳しく解説します。
1.水辺にはいかない
お盆に海や川などの水辺に行くことは避けた方が良いとされています。
これには、先祖の霊が水を通じてこの世に帰ってくるという伝承が影響しています。
また、お盆期間中に水辺を訪れることのリスクには、現実的な問題が関与しています。
この時期は気候が不安定で、しばしば高波、台風、大雨が発生し、海や川などの水辺が非常に危険な状態になります。
また、お盆は通常、家族や親戚が集まる時期であり、大人はほとんどの時間を屋内で過ごすことが多いです。
この間に子供たちが一人で水辺に出かけてしまい、何か事故が発生した場合、すぐに対応ができない可能性があるため、水辺へのアクセスは避けるべきとされています。
このような理由から、お盆に水辺へ行くことはダメとされているのです。
2.生き物の命を奪う行為をしない
お盆は「あの世の門」が開き、故人の霊がこの世に戻ってくるとされる期間です。
この聖なる時間には、不必要に生命を奪う行為、たとえば釣りや虫捕りは避けるべきです。
これは、仏教の「生きとし生けるものを大切にする」という教えに基づくものです。
ただし、現代においてお盆期間中に肉や魚を食べること自体は問題ありませんが、食事を残すことや過度に食べることは控えるべきです。
この期間は、生命の価値を再認識し、尊重する心を持つことが重要です。
このように心がけることで、ご先祖様に対しても敬意を表すことができます。
3.有毒またはトゲのある植物を飾らない
お盆に飾る花選びには、いくつか注意すべき点があります。
特にトゲがあるものや毒を持つ花は避けた方が無難です。
また、特定の色や香りが強い花も控えるべきです。
ここでは、どのような花を避け、どのような花を選ぶべきかを詳しく説明します。
お盆には以下のような特徴を持つ花を飾るのは避けることが望ましいです。
① トゲのある花
バラ、ブーゲンビリア、アザミなどは、トゲが怪我の原因になることがあり、また殺生を連想させるため不適切とされます。
② 毒のある花
スズラン、彼岸花、アサガオは毒性があるため、故人に対して不敬にあたると考えられています。
③ 黒い花
黒百合、チョコレートコスモス、カラーなど、黒い花は一部の地域では縁起が悪いとされています。
④ 香りの強い花
クチナシ、ラベンダーなど、香りが強すぎると、線香の香りと混ざり合ってしまうため避けるべきです。
⑤ 花が頭から落ちる花
椿、牡丹など、花が落ちる様子が首が落ちることを連想させ、不吉とされることがあります。
逆にお盆でお供えなどでオススメの花としては、菊やリンドウが挙げられます。
菊は古くから悪気を払う力があるとされ、リンドウは誠実や悲しみに寄り添うという花言葉を持ち、お供えに適しています。
これらの花は故人への敬意を表すのに適した選択とされています。
4.針仕事や怪我のリスクがある作業をしない
お盆の期間中は、針仕事のように怪我をする可能性がある作業は避けましょう。
特に、針で指を刺してしまうと出血することがありますが、仏教では血を不浄とみなすため、そういったリスクのある作業は控えるのが良いとされています。
トゲのある植物を避けるのも、このような怪我を防ぐためです。
5.引越しをしない
お盆の時期はしばしば「土用」と重なり、この期間中は土を動かすことが避けられるため、引越しは推奨されません。
土用とは「土が活発になる時期」とされ、この時期に土を動かすと不運を招くとされています。
旅行や新しい場所への訪問も同様に控えるべきです。
6.結婚式や入籍を避ける
お盆期間中は、祖先の霊が帰ってくるため、お祝い事を行うのは控えた方が良いとされています。
この時期に結婚式や入籍などのお祝い事をすると、喪に服する雰囲気とは逆のため、不吉とされることがあります。
また、お盆の法要や墓参りと重なり、忙しくなるため、避けるのが無難です。
7.大きな買い物を控える
お盆には、大きな買い物も避けるほうが良いとされています。
というのも、お盆は先祖の供養に集中するべきで、世俗的な活動は控えるべきだとされているからです。
特に車などの高価な商品の購入は避けた方が良いでしょう。
お盆期間の意義と行事
お盆は、故人の魂を家庭に迎え入れ、供養するための期間として知られています。
この期間は地域によって異なることが多く、主に以下のように区分されます。
- 新暦のお盆:7月13日から16日
- 旧暦のお盆:8月13日から16日
多くの地域では旧暦を守っていますが、東京などの一部地域では新暦のお盆を採用しています。
お盆の始まりは「迎え盆」として知られ、家族がお墓参りを行ったり、迎え火を焚いて故人の魂を迎えます。
お盆の終わりには「送り盆」として、再びお墓参りをし、故人の魂を送り出す儀式を行います。
この間、家族や親しい人々との会食や読経、法要が行われます。
お盆に行うべき三つの供養
お盆には特に重要な三つの供養があります。
それぞれの意義と方法について説明します。
1.お墓やお仏壇の清掃
お盆は先祖の魂を迎える期間であるため、お墓やお仏壇を清掃して綺麗に保つことが大切です。
家庭に精霊棚を設ける場合も、その場所をきれいに整えることが推奨されます。
お墓は故人の魂が宿る場所とされるため、遺骨が安置されている場所を清潔にすることで、故人に敬意を示すことができます。
2.家族や親戚との食事
お盆には家族や親戚が集まって共に食事をすることが一般的です。
この集まりは、故人が家族の絆を感じて喜ぶとされ、生きている家族間の結びつきも強化されます。
親族が一堂に会して食事を共にすることで、故人への供養だけでなく、生きている家族の幸せも育まれると言われています。
3.お経の読語や写経
故人に与えられた戒名や法名を持ち、それを通じて仏教の教えに触れることは、お盆の期間に特に意味のある行いとされています。
お経を読むことや写経をすることは、故人の供養にとどまらず、私たち自身が教えを受け取り、内省する機会ともなります。
お盆は故人を供養すると同時に、自分自身の生き方を見つめ直す貴重な時間となるのです。
お盆には、精進料理を食べるのが一般的ですが、家庭や地域によって避けるべき食材が異なることがあります。ここでは、それぞれについて詳しく説明します。
お盆に食べるのが良いものとは?
古くから推奨されているのは精進料理。
精進料理とは、肉、魚、卵などの動物性食材を使用しない料理のことです。
これに加えて、匂いが強い五辛(にんにく、ねぎ、にら、らっきょう、しょうが)も使いません。
元々は仏教の僧侶が食べる料理でしたが、お盆には一般家庭でもこの精進料理を作り、故人を偲びます。
精進料理は動物性の食材を使わない植物ベースの料理で、地域によって様々なバリエーションがあります。
そうめん、豆ご飯、お煮しめ、天ぷら、枝豆、おはぎ、白玉団子などもお盆の時期によく食べられます。
特にそうめんは、細長い麺の形が「喜びが細く長く続く」ことを象徴し、お盆のお供えや食事に選ばれる理由の一つです。
家庭によって異なるお盆の食事制限
家庭や地域によって、お盆に食べるべきでない食材が異なることがあります。
例えば、結婚して配偶者の実家で暮らし始めたり、お盆に義理の両親と食事をする場合、その家庭の風習に合わせた食事を準備することが必要です。
どの食材を避けるべきかは、家族や義両親、他の親族に尋ねるのが一番です。
このようにすることで、お盆の期間中に誰にも不快感を与えず、故人に対しても適切な敬意を示すことができます。
お盆は故人を偲ぶ大切な期間で、その間に行われる供養や食事にはさまざまな慣習があります。
お盆のお供え物、食べても大丈夫?
お盆では故人の好物を仏前に供えますが、これらのお供え物は供えた後に家族が食べることが一般的です。
故人と一緒に食事を分かち合うこと自体が供養となり、故人の魂を慰める意味があります。
ただし、家庭や地域によってはお供え物を食べることを避ける風習もありますので、そういった場合は地域の慣習や年配の方の意見を尊重すると良いでしょう。
まとめ
最近では、お盆に集まった家族が寿司を出前したり、外食で焼肉を楽しんだりすることは一般的。
このように、伝統的には動物性の食べ物を避けるべきですが、現代では食事の選択がより自由になっています。
ただし、お盆は故人の魂を迎えるための期間なので、この時期の過ごし方をよく理解し、故人に喜ばれるような供養を心がけることが大事です。