沈丁花(ジンチョウゲ)は、初春に花を咲かせる常緑樹で、魅力的な香りを持っています。
花は外側が紅紫色、内側が白色の花弁を持ち、濃い緑の葉との対比が美しいです。
そして、春が来ると、その甘い香りが人々を喜ばせてくれます。
しかし、沈丁花は庭に植えてはいけないと言われることがあります。
そこで、ここでは、沈丁花を庭に植えてはいけないと言われる理由や上手な育て方、花言葉や風水的な効果について詳しく解説します。
沈丁花を庭に植えてはいけない3つの理由
沈丁花を庭に植えてはいけないと言われる理由は次のとおりです。
1.毒性がある
沈丁花には、赤い実や根、さらには樹液にも毒素が含まれているため、取り扱いには注意が必要です。
この植物の毒素による影響は部位によって異なりますが、特に樹皮や樹液に直接触れた場合、皮膚にかゆみや水ぶくれが生じるリスクがあります。
また、沈丁花の実を誤って摂取した場合、下痢や嘔吐はもちろん、最悪のケースでは心臓に影響を及ぼす可能性も考えられます。
そのため、沈丁花の手入れをするときには必ず手袋を着用すようにしましょう。
さらに、子供やペットがこの植物に誤って触れたり、飲み込んだりしないようにするための対策も必要です。
特に、子供や犬、猫がいる家庭では、沈丁花が容易に触れられない場所に植えるなど、予防措置を講じることが大切です。
2.突然枯れることがある
沈丁花は庭木としては短命の木で、一般的な庭木の寿命が50年近くあるのに対し、沈丁花の樹齢は20~30年ほどです。
そして、元気なように見えても、突然枯れてしまうことがあります。
これは白紋羽病などの土壌伝染性病原菌によるものが多く、成木の移植も難しいと言われています。
3.寒さに弱い
沈丁花は寒さに弱く、耐寒性はマイナス5度程度です。
なので、東北や北海道のような寒冷地では、冬の屋外での管理が特に困難です。
また、根がとてもデリケートであり、成長が緩慢でとても繊細な植物なので、植え替えもあまりおすすめできません。
沈丁花の地植えの上手な育て方
沈丁花は春になると美しい香りを放ち、外側は紅紫色、内側は純白で、根強いファンが多い植物ですから、庭に植えたいという人も多いでしょう。
そこで、ここでは、沈丁花を庭に地植えして上手に育てる方法を具体的に解説します。
1.適切な植え場所と土壌の準備
沈丁花の根は大変デリケートで、傷つけるとスグに病気になりやすいので、植え替えには不向きです。
なので、地植えをするときは、場所を慎重に選んでから行いましょう。
また、沈丁花は直射日光を避けた半日陰で育てるのが理想です。
なので、直射日光や西日が当たらない場所を選ぶと、夏の暑さから守ることができます。
土壌は水はけが良くて、湿り気を保つ弱酸性が適しています。
有機質を多く含んだ土を使い、植える際には根を傷めないように注意しましょう。
2.水やりのポイント
沈丁花の根はそれほど深くまで伸びないので、土の乾燥に敏感です。
春の成長期や夏の暑い時期は、土が乾いたらしっかり水をあげることが大切です。
ただし、それ以外の季節には水やりを控えめにします。
3.肥料の与え方
花が終わった後の春(4月中旬から下旬)に緩効性の化成肥料を施し、9月にも株を充実させるために追肥を行います。
冬を迎える前の1月から2月には、有機質肥料を与えて栄養を蓄えさせます。
4.病気と害虫の対策
① 病気
沈丁花は特に白紋羽病やウイルス病に注意が必要です。
これらの病気は根に菌が侵入し、葉が黄色くなったり、しわしわになったりして、最終的には枯れることがあります。
ウイルス病の場合、発見した時点で回復が難しいことが多いです。
これらを防ぐには、強い剪定を避け、同じ場所で何年も栽培するのを避けることが効果的です。
② 害虫
春から夏にかけて、アブラムシやハマキムシが発生することがあります。
アブラムシは新芽に害を及ぼし、ウイルス病を広げることもあります。
ハマキムシは葉を食べる害虫です。
これらの害虫を見つけたら、すぐに駆除することが大切です。
5.植え替えと移植の方法
沈丁花の植え替えや移植は通常、控えるべきとされています。
特に成熟した大きな株の場合、根を傷つけるとその後枯れやすくなるため、移植や植え替えはおすすめできません。
しかし、若い小さな株であれば、植え替えや移植が可能です。
この作業の最適な時期は、花が終わった後で新しい芽が出る前の3月下旬から4月、または秋の9月下旬から10月にかけてです。
植え替えを行う際には、根を損傷しないよう特に注意し、根鉢を崩さないようにして慎重に行います。
また、植え替える際には一回り大きな鉢や新しい場所に移植し、新鮮な土を使用することが重要です。
これは連作障害を避けるためでもあり、植物が健康に成長するためには、同じ土地に何度も植えることは避けるべきです。
6.増やし方
沈丁花は種子ができないため、さし木が一般的です。
沈丁花は雄木と雌木が存在し、日本には香りが強い雄木が中国から多く導入されたため、今見る沈丁花の大部分は雄木です。
これが花は咲くけれど実がつかない理由です。
さし木は、前年に伸びた枝を春の4月に行う方法と、その年に伸びた枝を夏の7月から8月に行う方法があります。
さし木には鹿沼土の小粒を使用すると良く、これに挿すと容易に根が出て、2〜3ヶ月後にはポットに植え替えることができます。
7.剪定
沈丁花は自然に綺麗な半球形を作るため、通常は多くの剪定は必要ありません。
形を整える必要がある場合や、枝が密集しているときのみ、花後に軽く剪定を行います。
過剰な剪定は避けるべきですが、少し剪定することで健康的な成長を促すことができます。
沈丁花を鉢植えで育てることはできる?
沈丁花は根が繊細で、頻繁に植え替える必要がある鉢植えには向いていません。
ただし、植え替えをしない前提であれば、鉢植えでも育てることが可能です。
大切なのは、水はけが良く、同時に水を保持できる用土を使うことです。
例えば、赤玉土の小粒と中粒を等量で混ぜ、それに腐葉土を加えた土がおすすめです。
その他のお手入れは、地植えの場合と同じ方法で行います。
沈丁花の花言葉
沈丁花の花言葉には「不滅」「不死」「永遠」「栄光」「勝利」「甘い生活」「優しさ」といった意味が込められています。
これらの言葉は、沈丁花が常緑樹であり、一年中緑の葉を保つことから来ています。
また、花言葉は、国内外で共通しており、「immortality(不滅)」や「glory(栄光)」などの言葉が使われることもあります。
沈丁花は色によって花言葉が変わることはなく、どの色の花も同じ花言葉が適用されます。
沈丁花と風水の関係
沈丁花は風水で運気を向上させる効果があるとされています。
特にピンクの沈丁花は、金運、財運、恋愛運を強化すると言われています。
ただし、沈丁花には毒性があるため、家の東や南に植えると凶とされることも。
適切な場所に植えることで、その悪影響を避けることができます。
恋愛運を上げたい場合は、家の西南に植えると良いとされていますし、金運を上げたいなら玄関の近くにピンクの沈丁花を植えるのがおすすめです。
また、「沈」という字が含まれるため、運気が下がると見る地域もあります。
沈丁花を植える際には、その地域の風習を調べてみると良いでしょう。
まとめ
この記事では、沈丁花を庭に植える際の留意点、鉢植えと庭植えの方法、花言葉、風水による運気向上の効果を紹介しました。
沈丁花には植えるのに適さない理由があるものの、適切な対策を行えば庭に植えることができます。
沈丁花を庭に植えるかどうかを検討している方は、今回のポイントを参考にして植えてみてください。