日本では昔から狸(タヌキ)はお話や諺、様々な文化作品でよく見かける身近な動物ですね。
だけど、世界的に見たら、タヌキってかなり珍しい存在なんだとか。
そこで、ここでは、タヌキがどの科に属しているのか、どこに住んで、何を食べるのかを紹介していきます。
タヌキって何科の動物?
タヌキはイヌ科です。
詳しく言うと、タヌキは哺乳類で、ネコ目イヌ科タヌキ属に分類されています。
イヌ科の中でも古い種類で、原始的な特徴を持っています。
人間の近くや山の中に住んでいて、食べ物はなんでもOKの雑食性。
果物や種子、虫、小動物、人間が捨てた食べ物まで何でも食べます。
主に夜に活動して、家族で動くことが多いです。
縄張りはそんなに広くなくて、他の家族と地域が重なることも。
食べ物がたくさんあるところでは、複数の家族が一緒に暮らしていることもあります。
体長は大体40~60cm、体重は3~10kgくらいで、足が短くて体がゴツゴツしてるイメージ。
でも、季節によって体型が変わって、冬前には太って、夏には痩せます。
だから夏にタヌキを見ると、思ったよりもスリムに見えるかも。
体の色は灰褐色で、顔の周りに黒い縁取りがあって、まるでメガネをかけているみたいです。
タヌキとイヌの共通点
タヌキはイヌ科の動物で、イヌと多くの共通点を持っています。
見た目では、太めのイヌのように見えることが多いタヌキ。
その理由は足の構造がイヌと似ているからです。
足の先端を見ると、タヌキもイヌと同じように指で支えて立ち、つま先立ちで歩く構造をしています。
なお、爪は固定されており、引っ込めることはできません。
また、タヌキの足には5本の指がありますが、地面につくのは4本で、その足跡はイヌのものとよく似ています。
骨格に目を向けると、前足も後足も地面からの高さが高いことが特徴です。
歯の数もイヌと同じで、42本持っています。
タヌキは短い鼻を持っているというイメージがありますが、実際にはイヌと似た長い鼻と頭骨の形状をしています。
なので、全体の骨格を見ても、タヌキとイヌを区別するのは難しいです。
タヌキは都市部に生息すること、文化的にも昔から親しまれている点でイヌと似ており、飼育している人もいます。
つまり、タヌキはイヌ科に属するだけあり、イヌとの類似点が多いのです。
タヌキが住む場所
タヌキは海外では特に朝鮮半島や中国などに生息し、世界的に見るとかなり珍しい動物です。
日本では、本土のタヌキと北海道のタヌキ、つまりホンドタヌキとエゾタヌキの2種がいます。
ホンドタヌキは本州、四国、九州に、エゾタヌキは北海道に住んでいます。
タヌキは自然が残る郊外から、里山、さらには低山地帯にかけて、人の手が入った地域でもよく見られます。
東京の23区や名古屋の中心部のような都市部にも生息しており、標高2000メートルを超える高山地帯にも住んでいることが知られています。
タヌキの食事習慣
タヌキはその雑食性のため、食べ物にそこまで選り好みはしません。
彼らの日常の食事にはネズミやカエル、様々な果物、魚が含まれます。
人の住む地域へと食料を求めて降りてくることも珍しくありません。
人間の作った農産物、例えばサツマイモ、スイカ、トウモロコシを食べたり、残された食べ物や、家畜のアヒルやニワトリを捕食することもあります。
このような行動が原因で、タヌキは一部地域で害獣とみなされ、狩猟の対象にもなっています。
面白い!タヌキに関するアレコレ
タヌキは古くから日本で愛されてきたため、タヌキにまつわるエピソードはたくさんあります。
1.タヌキが本当に「タヌキ寝入り」をする!
「タヌキ寝入り」とは、困ったときに死んだふりをするという意味の慣用句です。
実際、タヌキは危険を感じたり、驚いたりしたときに、死んだふりをすることがあります。
これは、一時的に気を失うことで、生き残るための戦術の一つ。
この行動は多くの哺乳類や昆虫にも見られます。
敵を欺いて死んだと思わせ、その隙に逃げる戦略を取ります。
タヌキがこの慣用句に選ばれたのは、その行動が比較的身近で観察されることが多かったからでしょう。
2.タヌキの木登り能力
タヌキはイヌ科でありながら、珍しく木に登ることができる動物です。
完全に慣れているわけではありませんが、不安定ながらも木に登る姿が見られます。
降りる際も、かなりぎこちない動きをすることがあります。
イヌ科の動物が木登りをするのは珍しく、この能力は彼らがある程度器用であることを示しています。
果実を取るために木に上ったり、時には休憩のために木の上で時間を過ごすことも。
また、泳ぎも得意で、1メートル程度の跳躍も可能です。
速く走ることは得意ではないものの、タヌキの運動能力は見かけによらず高いです。
3.タヌキのトイレ習性と「ためフン」
タヌキには、群れで特定の場所をトイレと定めて排泄する独特の習性があります。
この行為により、多くのタヌキが同じ場所で用を足すため、徐々に排泄物が積み重なっていくことになります。
この現象は「ためフン」と呼ばれ、タヌキが近くにいる証拠とされています。
一旦トイレとして選ばれた場所は長期にわたり使用され、時には何年もの間、次世代に受け継がれることもあります。
4.「同じ穴のムジナ」という言葉の背景
「同じ穴のムジナ」とは、外見は異なるが根は同じという意味で使われる言葉です。
この表現はしばしば、悪事を働く人たちを指すのに使われるやや否定的なニュアンスを持っています。
「一つ穴の狸」や「一つ穴の狐」と同様に使われることもあります。
ムジナは一般にアナグマを指しますが、地方によってはタヌキを意味することも。
タヌキは自ら穴を掘ることはせず、アナグマやキツネの古巣を転用することがあります。
この習性から、異なる種が同じ穴で共生する様子を指して「同じ穴のムジナ」という表現が生まれたとされます。
この表現が悪者を指すようになった背景には、タヌキやキツネが人をだますという民話や、畑を荒らす習性が関係していると考えられます。
タヌキと他の動物の見分け方
タヌキは日本の自然の一員として長い歴史を持っていますが、見た目が似ているハクビシンやアライグマと間違えられることがあります。
そこで、簡単な見分け方をいくつか紹介しましょう。
まず注目すべきは尾です。
タヌキの尾は基本的に体色と同じで先端が黒く、太くてもふもふしています。
体長の約3分の1の長さで、比較的短いです。
一方、ハクビシンの尾は細長く、体長に匹敵する長さがあります。
アライグマの最大の特徴は尾の縞模様です。
タヌキとハクビシンを区別する際は、顔つきも大切です。
ハクビシンは顔の中央に特徴的な白い線があります。
一瞬の遭遇であっても、これらの特徴に注意することで正確に識別できるかもしれません。
タヌキはペットにできる?
タヌキは何でも口にする雑食性を持っていますが、家でペットにして飼う場合、自然の食べ物を日々提供するのは容易ではありません。
ですが、タヌキは犬科ですから、日常の餌として最適なのがドッグフードです。
栄養バランスが考えられており、準備も簡単。
ドッグフード以外にも、果物やサツマイモ、野菜、ミルワーム、コオロギなども与えることが可能です。
ミルワームやコオロギは、ペット用品店で容易に手に入ります。
まとめ
民話の中でよく見かけるタヌキは時に鈍く思えるかもしれませんが、実際には生き抜くためにあらゆるものを食べ、多彩な生活を送る賢さを持っています。
しかし、人間の生活圏に近くに住むがゆえに、畑を荒らしたり、ゴミを漁ったり、家の下に住み着いたりして、時には害獣とみなされることもあります。
タヌキに対するイメージは必ずしも良いものだけではないかもしれませんが、長い間、日本の自然環境と共にある象徴的な野生動物です。